2026年(令和8年)6月から、精神科の診療に関わる診療報酬(医療機関が受け取る報酬)の仕組みが変わりました。
この改定は、精神科に通院している方やそのご家族にとって、直接は見えにくいけれど、通院先の診療に影響する可能性のある変化です。
どんな変化があったのか
大きく分けると、2つの変化があります。
1. 医師の資格による評価の差が大きくなりました
精神科には「精神保健指定医」という資格があります。 本来は、本人の同意がない入院の判定や、行動制限の判断など、患者さんの権利に深く関わる場面で必要とされる資格です。
今回の改定では、この資格を持つ医師と持たない医師とで、外来の精神療法(通院・在宅精神療法)の診療報酬に大きな差がつきました。
資格を持たない医師が一定の基準を満たさない場合、報酬が4割減とされます。
2. 薬の処方に関する制限が厳しくなりました
抗うつ薬または抗精神病薬を、それぞれ1回の処方で3種類以上投与した場合、精神療法の報酬が算定できなくなりました。
薬の種類を減らすことで、処方の適正化を図る目的とされています。
暮らしへの影響として考えられること
この改定について、医療の現場からはさまざまな声があがっています。
精神保健指定医の資格は、入院設備のない小さなクリニックの医師には取得が難しいとされています。 指定医になるには、精神科病院で非自発的入院の患者を担当した経験など、複数の要件があります。 研修を受ければ取れるというものではなく、入院設備のないクリニックの医師にとっては、開業後にこの要件を満たすことが難しいとされています。
街の精神科クリニックは、通いやすさや予約の取りやすさから、地域の大切な受け皿になっています。 今回の改定が、こうしたクリニックの経営に影響を与えるのではないかという懸念の声があります。
また、薬の処方制限については、複数の薬を組み合わせて症状を調整しながら生活している方もいます。 制度の変化によって、通院先や処方に変化が生じる可能性があります。
気になることがあれば
今の通院先や処方について気になることがあれば、主治医に聞いてみるのがおすすめです。
「何か変わることがありますか?」と、一言聞いてみるだけで大丈夫です。
今回の改定の詳細は、厚生労働省のホームページ「令和8年度診療報酬改定について」に掲載されています。
薬で調整しながら安定した日々を過ごしている方にとって、処方の変化は暮らしに直結する問題です。この改定が、通院先で何を意味するのか、それは一人ひとり違います。「いつもの先生に聞いてみる」、それが一番確かな一歩だと思います。

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