「80を超えた親が一人暮らしをしていて、最近話すことが少なくなった。デイサービスなんか利用できますか?」
「母親が以前できていたことができなくなって、父親にひどくしかられていて、どうしたらいいかと思って」
「ヘルパーさんに来てもらうには、どうすればいいですか?」
こうした相談は、地域包括支援センターで受けてもらえます。
介護保険のサービスを使うには、いくつかの手続きがあります。 この記事では、相談からサービスが始まるまでに何が起きるかを、順番にお伝えします。
まず電話で相談してみる
デイサービスを使いたい、ヘルパーに来てほしい、お風呂が心配—— 具体的なサービスの名前が出なくても、「こういうことで困っている」と伝えれば大丈夫です。
相談先は、地域包括支援センターです。
- お住まいの地域ごとに担当のセンターがあります
- 本人でなくても、家族からの電話で相談できます
- 「介護保険を使うにはどうしたらいいですか」と聞けば、そこから案内してもらえます
地域包括支援センターでは、介護保険の申請の手伝いもしてくれることが多いです。 「何から始めればいいかわからない」という段階で電話して構いません。
地域包括支援センターに相談すると、担当者がつきます。 介護保険の申請、認定調査、主治医への連絡——ケアマネージャーにバトンタッチするまで、この担当者がずっとついてくれます。
→ 地域包括支援センターについて、くわしくはこちら(地域包括支援センター)
介護保険の申請をする
介護保険のサービスを使うには、市区町村に介護保険の申請をします。
申請は、本人や家族が窓口に行く方法のほか、地域包括支援センターやケアマネージャーが代わりに手続きしてくれることもあります。 相談のときに「申請も手伝ってもらえますか」と聞いてみてください。
申請のときに必要なものは、おおむね以下のとおりです。
- 介護保険の被保険者証(届いていれば)
- 主治医の名前と病院名
- 本人の状況がわかる情報
申請すると、2つのことが同時に進みます
介護保険の申請をすると、認定調査と主治医意見書の準備が同時に進みます。
- 認定調査:市区町村から調査員が自宅を訪問して、本人の状態を確認します
- 主治医意見書:市区町村から主治医に、意見書の作成が依頼されます
どちらも市区町村が手配してくれるので、家族が段取りする必要はありません。 申請から結果が出るまで、原則30日ほどかかります。
ひとつ大事なことがあります。 急ぎでサービスが必要な場合は、申請した日からサービスを使い始められる場合があります(「暫定ケアプラン」という仕組みです)。 「結果が出るまで何もできない」わけではありません。急ぐ場合は、地域包括やケアマネージャーに相談してみてください。
認定調査(調査員が自宅に来ます)
市区町村から認定調査員が自宅を訪問します。 本人の体の動き、日常生活の様子、認知機能のほか、住まいの環境や同居の有無、周囲の支援の状況といった生活状況も確認してくれます。 住まいの環境を確認するのは、手すりや介護ベッドなどの福祉用具が利用できるかどうかにも関わるためです。
調査員が聞くのは、たとえばこのようなことです。
- 一人で歩けるか、立ち上がれるか
- 着替えや入浴はどうしているか
- 食事の準備や買い物はできているか
- 日にちや場所がわかるか
- 最近、生活の中で変わったことはあるか
「本人がしっかりして見えてしまう」こと、よくあります
認定調査のとき、本人が普段よりしっかりして見えることがあります。 来客があると緊張して、いつもよりきちんと受け答えしてしまう。これは珍しいことではありません。
家族が気になっていること——たとえば「夜中に何度も起きる」「同じことを繰り返し聞く」「火の消し忘れがあった」——そういった普段の様子は、家族から調査員に直接伝えて構いません。
調査のときに本人の前で言いにくければ、事前にメモを用意して、調査員に渡す方法もあります。
主治医意見書
認定調査と並行して、市区町村から本人の主治医に「主治医意見書」の作成が依頼されます。
主治医がわかっていれば、地域包括支援センターの担当者が病院に電話をして、次の受診日に介護保険の申請があることを前もって伝えてくれます。 家族が自分で病院に連絡する必要はありません。
ただ、ひとつ知っておくとよいことがあります。
主治医が普段の診察で把握しているのは、体の病気や症状のことが中心です。 「家では一人でお風呂に入れなくなっている」「ごみ出しができていない」といった生活の困りごとは、診察の場では伝わっていないことがあります。
もし可能であれば、申請の前後に主治医の診察があるときに、生活で困っていることを伝えておくと、意見書に反映されやすくなります。
主治医がいない場合は、地域包括支援センターに相談すると、対応を一緒に考えてもらえます。
審査・判定
認定調査の結果と主治医意見書をもとに、「介護認定審査会」で判定されます。 これは書類をもとにした審査なので、本人や家族が出席するものではありません。
判定の結果は、以下のいずれかです。
- 要支援1〜2:生活の一部に支援が必要な状態
- 要介護1〜5:日常的に介護が必要な状態(数字が大きいほど介護の必要性が高い)
- 非該当:現時点では介護保険の対象にならない
申請から結果の通知まで、原則30日です。 届くまでに不安なことがあれば、地域包括やケアマネージャーに聞いてみてください。
結果に納得がいかないとき
「思ったより軽く出た」ということは、実際にあります。
そのときは、区分変更申請をすることができます。 もう一度、認定調査からやり直す手続きです。
区分変更申請は、本人の状態が変わったときだけでなく、「調査の結果が実態と合っていない」と感じたときにも使えます。 地域包括やケアマネージャーに相談すれば、一緒に考えてくれます。
「不服申立て」という制度もありますが、時間がかかることが多いため、まずは区分変更申請のほうが現実的です。
ケアマネージャーを決める
要介護の結果が出た方は、ケアマネージャー(介護支援専門員)を決めます。 ケアマネージャーは、その人に合ったサービスの組み合わせを一緒に考えてくれる人です。
要支援の結果が出た方は、地域包括支援センターが担当してくれることが多いです。
「どう選べばいいかわからない」とき
ケアマネージャーは、居宅介護支援事業所に所属しています。 地域包括支援センターに聞けば、お住まいの地域の事業所のリストをもらえることが多いです。
選ぶときの手がかりは、たとえばこのようなことです。
- 自宅から近いかどうか
- 相談したい内容(認知症、一人暮らし、医療的なケアなど)に詳しいかどうか
- 話しやすいと感じるかどうか
そして、大事なことをひとつ。 ケアマネージャーは、あとから変更することができます。 「最初に決めたら変えられない」ということはありません。合わないと感じたら、地域包括支援センターに相談してみてください。
→ ケアマネージャーについて、くわしくはこちら(ケアマネージャー)
ケアプランを作る・サービスが始まる
ケアマネージャーが決まると、自宅に来て、生活の困りごとを詳しく聞いてくれます。
「朝の着替えが大変」「お風呂が不安」「日中ひとりでいる時間が長い」—— そうした話をもとに、その人に合ったサービスの組み合わせ(ケアプラン) を提案してくれます。
使いたいサービスや気になっていることがあれば、ケアマネージャーに伝えてみてください。
たとえばデイサービスにも、体を動かすリハビリが中心のところや、入浴や食事のサービスがついているところなど、いろいろな種類があります。「どんな違いがありますか?」と聞けば、ケアマネージャーが教えてくれます。
提案された内容がしっくりこなければ、「こうしてほしい」と伝えて構いません。 使い始めてから「思っていたのと違った」ということもあります。 そのときは、サービスの内容や回数を変えることもできます。 一度決めたら終わりではなく、暮らしに合わせて調整していけるものです。
契約と費用のこと
それぞれのサービスが決まったら、サービスを提供する事業所と契約を結びます。 そのときに、利用費用を支払う銀行口座なども一緒に手続きします。 契約の内容でわからないことがあれば、ケアマネージャーに聞いてみてください。
介護保険のサービスを使ったときの自己負担は、原則1割です。 所得に応じて、2割または3割の方もいます。
ケアマネージャーへの相談や、ケアプランの作成には、自己負担はかかりません。
具体的にどのくらいの費用になるかは、サービスの種類や回数によって変わります。 ケアマネージャーが、ケアプランを作るときに一緒に計算してくれます。 費用のことが気になる場合は、遠慮なく聞いてみてください。
この記事のまとめ
介護保険のサービスを使うまでの流れを、あらためて並べると、このようになります。
- 地域包括支援センターに電話で相談する
- 介護保険の申請をする
- 認定調査と主治医意見書の準備が同時に進む
- 審査・判定
- 結果通知
- ケアマネージャーを決める(要介護の場合)
- ケアプランを作る
- 事業所と契約する
- サービス開始
手続きは多く見えますが、最初に地域包括支援センターに相談すれば、その後の流れを案内してもらえます。ひとつずつ、自分のペースで進めていけます。
時期はご都合に合わせていただいて大丈夫です。 窓口によっては、数回のやりとりが必要な場合もあります。
福祉の仕事をしていた頃のこと
認定調査に立ち会ったことが何度もあります。 普段は着替えにも時間がかかる方が、調査員の前ではしゃんとして、はきはきと受け答えをする。調査員が帰ったあと、家族が「いつもはあんなじゃないんです」と肩を落とす場面を、何度も見てきました。
だから、メモを用意しておくことをおすすめしています。 普段の様子、困っていること、気になっていること。 箇条書きでも、走り書きでも構いません。 調査員に渡せば、ちゃんと読んでくれます。
相談先
- 地域包括支援センター(地域包括支援センター)
- ケアマネージャー・相談支援専門員(ケアマネージャー・相談支援専門員)
- 医療ソーシャルワーカー(医療ソーシャルワーカー)——入院中の方は、病院の相談窓口でも介護保険の相談ができます
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