高齢になると足腰が弱くなって集積所まで歩くのがつらい、ごみ袋を持つと腰が痛む、けがや入院のあと体力が戻りきらない——年齢を重ねるほど、これまで当たり前にできていたことが、少しずつ重荷になることがあります。
このページでは、認知症の傾向はないけれど、体力面でごみ出しが難しくなった方が使える、相談先と支援を整理しました。
認知症のあるご家族のごみ問題や、障害のある方のごみ出し支援については、ページの後半で、入口となる窓口をご紹介します。
「ごみ出しに困る」のは、こんなときに
ごみ出しが難しくなる理由は、ひとつではありません。
- 集積所が家から遠い(階段や坂道がある)
- ごみ袋を持って歩くと、足腰がつらい
- 早朝に出すルールで、その時間に動くのが難しい
- けがや入院明けで、一時的に体力が落ちている
- 一人暮らしになって、ごみの分別や曜日の管理が負担になってきた
こうした「ちょっとした困りごと」は、ご本人にとっては小さくない負担です。ご近所に頼みづらい、家族に心配をかけたくない、と一人で抱えている方も多くいらっしゃいます。
「これくらいで相談していいのかな」と思われるかもしれません。ごみ出しの困りごとは、地域の福祉のなかで、よく出てくる相談のひとつです。
どこに相談すればいい?
ごみ出しに関する相談先は、いくつかあります。まず一か所、つながりやすいところから始めてみるのがおすすめです。
地域包括支援センター(高齢の方の最初の窓口として)
お住まいの地域の地域包括支援センターは、65歳以上の方とそのご家族の総合相談窓口です。
ごみ出しの困りごとを伝えると、自治体のふれあい収集、社協のサービス、介護保険の利用など、地域に合った道を一緒に整理してくれます。
詳しくは「相談先を探す:地域包括支援センター」をご覧ください。
すでにケアマネージャーがついている場合
介護保険を使っていて、担当のケアマネージャーがいらっしゃる方は、まずそのケアマネに相談していただくのがスムーズです。
すでに本人の生活状況を知っている方が動いてくれたほうが、話が早く進みます。
市役所の清掃部門(ふれあい収集について直接聞く)
自治体によっては、家の前まで職員がごみを取りに来てくれる「ふれあい収集」を実施しています。名称や条件は自治体によって違うので、お住まいの市の清掃部門に直接お問い合わせいただくのも、一つの道です。
時期はご都合に合わせていただいて大丈夫です。窓口によっては、数回のやりとりが必要な場合もあります。
使えるサービス1:自治体のふれあい収集
「ふれあい収集」「戸別収集」「お助け収集」など、自治体ごとに名前は違いますが、家の玄関先までごみを取りに来てくれる制度があります。
こんな仕組みです
- 自治体の清掃部門の職員が、決まった曜日に家まで来てくれる
- 集積所まで運ばなくていい
- 玄関先に出しておけば、収集していってもらえる
- 利用料は無料の自治体が多い(自治体による)
対象になりやすい方
- 一人暮らしの高齢者
- 高齢者のみの世帯
- 介護保険の認定を受けている方
- 障害者手帳をお持ちの方
具体的な条件は、自治体によって違います。
申し込みの流れ
- お住まいの市役所の清掃部門に連絡する
- 申請書を提出する
- 自治体の方が、自宅を訪問して状況を確認する
- 利用開始
地域包括支援センターに相談すると、申請のサポートをしてくれる場合もあります。
一緒に、見守りの役目も
ふれあい収集には、もう一つの大事な機能があります。玄関先にごみが出ていないと、職員が「いつもと違うな」と気づいてくれる。一人暮らしの方の、ゆるやかな見守りとしても働いています。
使えるサービス2:介護保険の訪問介護(ヘルパー)
要介護認定を受けている方は、介護保険の訪問介護(ヘルパー)を利用するなかで、ごみ出しを手伝ってもらうことができます。
知っておきたいこと
ただし、「ごみ出しだけ」の依頼は、原則できません。訪問介護は、掃除や買い物、調理など、生活全体の支援の一部としてごみ出しが含まれる仕組みです。
「ごみ出しだけ」を頼みたい場合は、次にご紹介する有償ボランティア型のサービスのほうが向いていることもあります。
利用の流れ
- 地域包括支援センター、またはお住まいの市の介護保険担当課に相談
- 要介護認定の申請
- 認定後、ケアマネージャーが決まる
- ケアマネと一緒にケアプランを作成
- ヘルパーの利用が始まる
認定までに、数週間〜1ヶ月ほどかかります。時期はご都合に合わせていただいて大丈夫です。
使えるサービス3:社協の有償ボランティアサービス
介護保険の認定を受けていなくても、利用できるサービスがあります。
社会福祉協議会(社協)のふれあいサービス
社協では、地域住民同士の助け合いを支える有償ボランティアサービスを提供している地域があります(名称は地域によって違います)。
ごみ出し、買い物の付き添い、電球の交換、ちょっとした掃除など、「制度の手前」で困っていることをサポートしてもらえます。
- 1時間あたり数百円〜の有償(地域による)
- 介護保険の認定がなくても使える
- 地域の住民が、ボランティアとして活動している
詳しくは「相談先を探す:社会福祉協議会」をご覧ください。
使えるサービス4:シルバー人材センター
地域の高齢の方が登録して、地域の仕事を引き受ける仕組みです。家事援助のメニューのなかで、ごみ出しを依頼できる自治体があります。
料金やメニューは、自治体によって大きく違います。
たとえば北九州市シルバー人材センターでは、「ワンコインサービス」として、朝のごみ出しを1回100円(10分程度)で頼める仕組みがあります。対象は、市内にお住まいの65歳以上の高齢者のみの世帯です。
千葉市シルバー人材センターでは、同じく「ワンコインサービス」として、30分以内のお手伝いを1回500円で頼めます。対象は、市内在住で65歳以上の高齢世帯、または要支援等の認定を受けている方です。買い物、ちょっとした掃除、ごみ出しなどに使えます。
このように、街によって、料金もメニューも、対象になる方の条件もさまざまです。ご自分の利用したい地域に、該当するサービスがあるといいですね。
お住まいの街のシルバー人材センターやふれあい収集の詳細は、各自治体のシルバー人材センター・社会福祉協議会・市役所清掃部門に直接お問い合わせください。確認でき次第、順次サイトに掲載予定です。
使えるサービス5:地域の自治会、民生委員
制度ではなく、地域のつながりのなかで助け合う形もあります。
民生委員
民生委員は、地域に住む住民のなかから選ばれた、福祉の見守り役です。ごみ出しを直接代行することはありませんが、「最近ごみ出しがつらくなってきた」という相談を受けて、地域包括や社協などにつないでくれることがあります。
「自分の地域の民生委員が誰なのかわからない」というのが現実です。お住まいの市役所、または地域包括支援センターに尋ねると、教えてもらえます。
自治会・町内会
地域によっては、自治会や町内会のなかで「ごみ出しが難しい方に、近所の人が手を貸す」という仕組みが、自然にできている場所もあります。回覧板や町内の集まりで、相談してみる道もあります。
離れて暮らすご家族にできること
親御さんが遠方に住んでいて、ごみ出しが難しくなってきていることに気づいたとき、ご家族にもできることがあります。
1. 親御さんの地域の地域包括に問い合わせる
ご家族から地域包括支援センターに相談することができます。ご本人と離れて暮らしていても、状況を伝えれば、その地域の支援につながる道を一緒に考えてもらえます。
2. 介護保険の認定を視野に入れる
ごみ出しが難しくなっているということは、生活の他の場面でも、少しずつ負担が増えているかもしれません。要介護認定の申請を検討する、一つのサインでもあります。
地域包括に相談すると、認定申請のサポートをしてくれます。
3. ふれあい収集の情報を集めておく
親御さんが住む自治体に、ふれあい収集の制度があるかどうか、ご家族が事前に調べておくこともできます。情報を持っていれば、ご本人にお伝えするときに、具体的な選択肢として渡せます。
認知症のあるご家族の場合
ここまでは、認知症の傾向がない方を中心にご紹介しました。
認知症のあるご家族のごみ出し問題は、少し違う角度の支援が必要になることがあります。
- ごみを出すタイミングや分別がわからなくなっている
- 家のなかにごみがたまってしまっている(ためこみの問題)
- 「ごみを出してほしい」とお願いしても、応じてもらえない
こうした状況は、ごみ出しの仕組みだけで対応するのが難しく、認知症のケア全体のなかで考えていく道筋になります。
まず、地域包括支援センターに相談していただくのがおすすめです。ご本人の状況に合わせて、訪問看護、認知症初期集中支援チーム、成年後見など、別の支援の入口を一緒に考えてもらえます。
この記事とは別に、認知症のあるご家族の生活支援については、改めて詳しく書く予定です。
障害のあるご家族の場合
障害のある方のごみ出し支援も、また別の制度の入口があります。
- 障害福祉サービスの居宅介護(ホームヘルプ)のなかで、ごみ出しを依頼できる
- 相談支援専門員が、生活全体を見ながら計画を立ててくれる
- 障害者基幹相談支援センターが、総合相談の窓口
ふれあい収集の対象として、障害者手帳をお持ちの方が認められている自治体も多くあります。
まずは、お住まいの市の障害福祉課、または障害者基幹相談支援センターにご相談いただくのがおすすめです。
障害のある方の生活支援についても、改めて別の記事で書く予定です。
相談先まとめ
ごみ出しに困ったときの相談先を、もう一度整理します。
| 相手 | できること |
|---|---|
| 地域包括支援センター | 高齢者の総合相談、各種制度の橋渡し |
| ケアマネージャー | すでに介護保険を使っている方の、最初の相談相手 |
| 市役所の清掃部門 | ふれあい収集の申し込み |
| 社会福祉協議会 | 有償ボランティア型のサービス |
| シルバー人材センター | 家事援助メニューでのごみ出し |
| 民生委員 | 地域での見守り、相談窓口への橋渡し |
| 障害福祉課・基幹相談支援センター | 障害のある方のごみ出し支援 |
時期はご都合に合わせていただいて大丈夫です。窓口によっては、数回のやりとりが必要な場合もあります。
ごみ出しは、生活の根っこに近い困りごとです。小さい話に見えても、これをきっかけに、生活全体を支えてくれる人や仕組みにつながることがあります。