まず、どこに相談すればいいかわからないとき
「自分の悩みは、どこに相談すればいいんだろう」
そう迷ったときに、使える窓口があります。
市によっては、「コールセンター」という相談の入口を持っているところがあります。
福祉のことに限らず、市役所の手続きや制度について、
「どこに相談すればいいか」を教えてくれる窓口です。
すべてがここで解決するわけではありません。
でも、まずどこに相談するべきかを教えてくれる可能性があります。
迷ったときの、最初の電話先として、知っておくと心強い窓口です。
確認できた市のコールセンター
●札幌市
札幌市コールセンター「ちょっとおしえてコール」
電話:011-222-4894
受付時間:年中無休 8:00〜21:00
(日本語のほか、英語・中国語・ハングルに対応)
●仙台市
仙台市総合コールセンター「杜の都おしえてコール」
電話:022-398-4894
受付時間:年中無休
平日 8:00〜20:00 / 土日祝 8:00〜17:00
(日本語のほか、英語・中国語・韓国語・ベトナム語・ネパール語に対応)
●千葉市
千葉市役所コールセンター
電話:043-245-4894
受付時間:平日 8:30〜18:00 / 土曜・祝日・年末年始 8:30〜17:00
(日曜定休)
※ここに載せているのは、現在確認できている市の窓口です。
お住まいの市にも、同じような窓口がある場合があります。
ほかの市の情報も、順次追加していく予定です。
※受付時間や対応内容は、市によって異なります。
※福祉のことだけでなく、市役所の手続き全般に使える窓口です。
地域包括支援センター
高齢の方やそのご家族にとって、いちばん身近な「総合相談の窓口」です。介護のこと、もの忘れのこと、ひとり暮らしの親のこと——「これはどこに相談すればいいんだろう」と迷うことの多くを、まず受け止めてくれる場所です。
どんなところか
地域包括支援センターは、市区町村が設置している相談窓口です。
ここには、保健師、社会福祉士、主任ケアマネージャー(主任介護支援専門員)という、分野のちがう専門職がいます。この人たちがチームを組んで、ひとつの相談を一緒に受けてくれる——これが、地域包括の特徴です。ほかの窓口だと、ひとりの専門職が単独で対応することが多いのですが、地域包括は「健康のこと」「生活のこと」「介護のこと」を、別々の窓口に分けずに、まとめて受け止めてくれます。
相談できる範囲も、広めです。
・介護保険を使っている人だけでなく、65歳以上の方なら誰でも相談できます ・ご本人だけでなく、ご家族からの相談も受け付けています ・介護、医療、福祉、健康——制度の種類をまたいで相談できます
相談を受けるだけでなく、地域の住民が気軽に集まれる「通いの場(サロン)」づくりなど、地域全体を支える活動もしています。
相談したことが、すぐに「介護保険の申請」につながるわけではありません。話を聞いて、状況を整理して、必要そうな支援や次の窓口を一緒に考えてくれる——そういう入口です。
相談できる人
相談できるのは、ご本人だけではありません。
・離れて暮らす親が心配な方 ・近所の高齢者の様子が気になる方 ・介護をしている家族の方
本人以外からの相談も、受け付けています。
こんなことを相談できます
・親のもの忘れが増えてきた気がする ・ひとり暮らしの親の食事や生活が心配 ・介護が始まりそうだけれど、何から手をつければいいかわからない ・介護と仕事の両立が不安 ・近所のお年寄りを、最近見かけない
話がまとまっていなくても大丈夫です。「うまく説明できないけれど、気になっている」——その状態のまま電話して構いません。
相談先の人たち
福祉の仕事をしてきた頃、地域包括支援センターの職員と一緒に動くことが何度もありました。印象に残っているのは、相談に来た人を、すぐに「介護保険の人」「障害福祉の人」と振り分けようとしないことです。まず話を聞いて、その人の生活全体を見てから、必要なものを一緒に考える。窓口の種類ではなく、目の前の人から考える——そういう専門職が多い場所でした。
自分の地域のセンターの探し方
お住まいの地域包括支援センターは、「市区町村名 + 地域包括支援センター」で検索すると見つかります。市区町村の役所(高齢福祉課など)に電話して、「うちの地域の地域包括はどこですか」と聞く方法もあります。担当のセンターは、住んでいる地域によって分かれています。
電話する前に、メモを
電話の前に、簡単なメモを作っておくと、話がスムーズになります。
・誰のことか(自分/親/近所の人)
・どんな状況か(もの忘れ、生活の不安、など)
・いちばん困っていること
うまく書けなくても大丈夫です。メモは、自分の頭を整理するためのものです。
よくある不安
「相談したら、介護を押し付けられるのでは」 → 相談は、何かを決める場ではありません。話を聞いてもらうところから始まります。
「たいした用件じゃない、と思われないか」 → 「まだ何も起きていないけれど気になる」という段階の相談も、よく受けています。早い段階の相談のほうが、選べる道は多くなります。
「一度相談したら、断りにくくなるのでは」 → 相談したあと、どうするかを決めるのは、ご本人・ご家族です。
急ぐ必要はありません。相談は一度で終わることもあれば、何度かやりとりしながら進むこともあります。あなたのペースで大丈夫です。
社会福祉協議会(社協)
お金、生活、地域のこと——「これは誰に相談すればいいんだろう」と迷ったとき、地域に根ざした相談窓口になってくれる場所です。それぞれの市区町村に必ず一つあって、住民の福祉を地域から支えるために活動しています。
どんなところか
社協は、お住まいの市区町村に必ず一つある、地域の福祉の相談窓口です。市役所とは別の組織ですが、地域に根ざした活動をしています。
場所は自治体によって違います。市役所や区役所の中にある場合もあれば、近くにある「○○福祉総合センター」「○○市民活動センター」のような施設に入っていることもあります。札幌市のような区がある大都市では、本部(市社協)と各区社協が別の場所にあり、各区社協は区役所の中にあることが多いです。物理的に行きやすい場所にあることが多いのも、社協の特徴です。
「市区町村名 + 社会福祉協議会」で検索すると、お住まいの地域の社協がどこにあるか、すぐに見つかります。
社協が大切にしているのは、「困っている人を、地域の中で支え合えるようにしたい」という気持ちです。お金、生活、家族のこと、地域の福祉活動——いろんな種類の困りごとを、まず聞いてくれる場所です。
相談できる人
ご本人だけでなく、
- ご家族
- ご近所の方
- 地域の見守りに関わっている方
- 「気になる人がいるんだけど…」と感じている方
社協は、地域の中の「気になっている」を受け止める場所として、できています。
こんなことを相談できます
- 生活費のやりくりが厳しい
- 急にお金が必要になった(病気、失業、災害など)
- 高齢の親の金銭管理が心配
- 判断能力が落ちてきた家族の生活が心配
- 一人暮らしの高齢者が気になる
- 地域のボランティア活動に関わってみたい
- 地域の福祉活動について知りたい
幅が広いので、「これは社協?」と迷っても大丈夫です。違う窓口が適切なら、社協がそちらを教えてくれます。
話がまとまっていなくても、「うまく説明できないけれど、気になっている」——その状態のまま電話して構いません。
代表的な事業
社協がやっている事業のうち、特に知っておきたいもの。
日常生活自立支援事業
判断能力が少し心配になってきた方(軽度の認知症、知的障害、精神障害のある方など)が、
- 福祉サービスを使うときの手続き
- 公共料金や日用品の支払い
- 預貯金の出し入れ
などを、社協の担当者(生活支援員)に手伝ってもらえる仕組みです。家族が遠くにいて手助けが難しいときや、家族にも頼みづらいお金のことを、第三者にお願いできる安心感があります。
利用料はかかりますが、ほかの福祉サービスより手の届きやすい金額に設定されています。
生活福祉資金貸付制度
「急にお金が必要になった」「収入が減って生活が苦しい」というときに、無利子または低利でお金を借りられる仕組みです。低所得世帯、障害者世帯、高齢者世帯が対象です。
主な種類は4つあります。
- 緊急小口資金:急な出費が必要なとき(病気、失業、災害など)。最大10万円、無利子。連帯保証人は原則不要。
- 総合支援資金:失業などで生活費そのものが続かないときの、月々の生活費の支援。
- 教育支援資金:低所得世帯の高校・短大・大学などの就学費用。
- 不動産担保型生活資金:高齢者世帯が自宅を担保に、生活費の貸付を受ける制度。
「貸付」なので、原則として返済が必要です。ただし、状況によっては返済の免除が認められる場合もあります。
申し込み・相談は、お住まいの市区町村社協が窓口です。お金を貸すだけでなく、生活全体の相談にも乗ってくれる仕組みになっています。
相談先の人たち
福祉の仕事をしてきた中で、社協の懐の広さを実感した場面がありました。
あるご家族から、年配のご親族のことで相談を受けたことがありました。一人で生活していて、物忘れが少しずつ増えてきている。でも、まだ病院で診断は受けていない。介護保険を申請するような段階でもない。
私からは、「社協には、**お金の管理を手伝ってくれる支援(日常生活自立支援事業といいます)**があるよ」と情報をお伝えしました。
そのご家族が社協に相談に行ったら、その支援も使えるけれど、地域の有償ボランティアが、生活のちょっとしたことを手伝ってくれる仕組みもある、と教えてもらったそうです。買い物の付き添い、ちょっとした家事、話し相手——「介護保険の手前」の段階で、ゆるやかに生活を支える仕組み。話し合いのなかで、ご親族の場合は後者のほうが合うのでは、という話になったそうです。
「お金の管理を手伝ってもらう支援を紹介してもらおう」と思って相談に行ったら、別の道があることを教えてもらった。社協は、相談者の状況に応じて、地域にあるいろんな選択肢を一緒に見てくれる場所だ、と実感した経験です。
「制度の手前」を支える窓口
社協のいちばんの個性は、「介護保険や障害福祉サービスを使う手前」を支える役割を持っていることだと思います。
日本の福祉制度の多くは、認定や診断がついてから動きます。要介護認定、障害者手帳、特定の診断。線を引いて、その線の内側にいる人だけが、制度の対象になる。
でも、その「線の手前」で、すでに困りごとが始まっている方は、たくさんいます。「まだ要介護認定の段階じゃないけど、一人での生活が少し心配」「物忘れが気になるけど、診断を受けるほどではない」「家族の手だけでは少しずつ大変になってきた」——そんな段階です。
社協は、地域の中で、その「線の手前」を支える仕組みを持っていることが多い場所です。
- 有償ボランティアによる軽い生活支援(買い物の付き添い、家事、話し相手など)
- 住民同士の支え合い活動
- 介護保険の手前で使える地域の福祉サービス
正式な名称は地域によって違います。「ふれあいサービス」「ささえあい事業」「暮らしのサポート事業」など、さまざまな呼び方で運営されています。
「介護保険を使うほどじゃないけど、ちょっと心配」というとき、社協に一度相談すると、思っていなかった選択肢が見つかることがあります。
自分の地域の社協の探し方
「市区町村名 + 社会福祉協議会」または「市区町村名 + 社協」で検索すると、お住まいの地域の社協のホームページが見つかります。市区町村ごとに必ず一つあります。
区がある大都市(札幌・横浜・名古屋・大阪など)の場合
区を持つ政令指定都市にお住まいの方は、まず区社協に電話するのがおすすめです。日常の福祉の相談、地域のことは、区社協が窓口になっています。区社協は、たいてい区役所の中や近くにあります。
市全体を統括する市社協は、専門的な相談(成年後見、災害ボランティアなど)や、全市的な事業を担当しています。市民が直接連絡するのは、特定の専門事業のときが中心です。
「これは区?市?」と迷ったら、まず区社協に電話して大丈夫です。区社協で対応できないことなら、適切な窓口を教えてくれます。
それ以外の市町村の場合
区を持たない市町村では、市町村社協が直接の窓口になります。一つの社協が、相談から事業まで担当しています。
電話する前に、メモを
電話の前に、簡単なメモを作っておくと、話がスムーズになります。
- 誰のことか(自分/親/近所の人)
- どんな状況か(生活の不安、お金のこと、家族のことなど)
- いちばん困っていること
うまく書けなくても大丈夫です。メモは、自分の頭を整理するためのものです。
よくある不安
「お金のことを相談するのは、恥ずかしい」 → お金や生活の相談は、社協がいちばんよく受けている相談のひとつです。スタッフが専門的な立場から相談を受けてくれます。
「相談したことが、誰かに伝わってしまわないか心配」 → 社協の職員には、法律で守秘義務が定められています。相談で話した内容は、社協の中で守られる仕組みになっています。
「うちの問題は、社協に相談するほどのことじゃないかも」 → 「ちょっと気になっている」段階の相談を、社協は大事にしています。早めの相談ほど、選べる道が多くなります。
「役所と何が違うの?」 → 役所は制度の窓口、社協は地域の福祉活動の窓口です。両方が連携することもありますし、お互いに紹介し合うこともあります。「これはどっち?」と迷ったら、どちらに電話しても、適切な窓口を教えてくれます。
急ぐ必要はありません。相談は一度で終わることもあれば、何度かやりとりしながら進むこともあります。あなたのペースで大丈夫です。
ケアマネージャー・相談支援専門員
介護や障害福祉のサービスを使うときに、その人にひとり、ついてくれる担当者です。介護保険ではケアマネージャー、障害福祉では相談支援専門員と呼ばれます。役割はとても似ています。
どんな人
介護や障害福祉サービスを使うときに、サービスをどう組み合わせるかを計画する人です。利用者ひとりに、ひとりつきます。月に何度か訪問してくれて、生活の様子を見ながら、必要なサービスの調整をしてくれます。
介護保険を使っている方には、**ケアマネージャー(介護支援専門員)**がつきます。障害福祉サービスを使っている方には、相談支援専門員がつきます。資格や所属する事業所は別ですが、機能はとても似ています。現場では、相談支援専門員のことを「ケアマネ」と呼ぶ場面もあります。
このページでは、両方をまとめて「ケアマネ・相談支援専門員」と表記します。
どこにいる人
ケアマネ・相談支援専門員は、地域にある事業所に所属しています。
- 介護保険のケアマネ → 居宅介護支援事業所
- 障害福祉の相談支援専門員 → 相談支援事業所
特別養護老人ホームやグループホームなど、施設に入所している方には、その施設のケアマネがつきます。
事業所は、地域に複数あって、利用者が自由に選べます。「うちの地域には、どんな事業所があるの?」というときは、お住まいの市区町村の地域包括支援センターか、市役所の介護保険課・障害福祉課に問い合わせると、一覧をもらえます。
こんなことを相談できます
- サービスをどう組み合わせるか
- 今のサービスが合っているか、変えたほうがいいか
- 新しいサービスを使いたい
- 家族の負担が増えてきた
- 本人の状況が変わった
- 緊急時にどう動くか
- 災害への備え
ケアプラン・サービス等利用計画の中身を超えて、生活全体の伴走者として、いろんなことを相談できる存在です。
ケアマネ・相談支援専門員の動き
基本の業務は、こんな流れです。
- 面談:本人と家族と会って、生活の様子、希望、困っていることを聞く
- 計画を立てる:ケアプラン(介護保険)またはサービス等利用計画(障害福祉)を作る。サービスをどう組み合わせるか
- サービスの確認:本人や家族に、計画の中身を説明して、合意をもらう。サービス事業者とも内容を詰める
- 事業者とつなぐ:ヘルパー、デイサービス、訪問看護、福祉用具のレンタル、ショートステイなど、必要なサービスの事業者を紹介して、契約まで橋渡し
- 継続支援(モニタリング):サービスが始まってからも、定期的に訪問して、状況を確認。困りごとが出たら、計画を見直す
- 給付管理(請求業務):毎月、利用したサービスの請求業務を行う
→介護のサービスはどういう流れで使えるの?
相談先の人たち
福祉の仕事をしてきた中で、ケアマネさんと一緒に動く場面がたくさんありました。
ケアマネさんの基本業務は、介護保険の範囲内でサービスを組み合わせてケアプランを作ること、サービス事業者と調整すること、そして毎月の給付管理(請求業務)です。
いいケアマネさんは、この基本業務を、スピーディに、的確に動いてくれます。利用者や家族の状況の変化に、すぐ反応してくれる。その人に合うプラン、合うサービスを選んでくれる。基本業務をきちんとやってくれること——これがいちばん大事です。
そして、長く現場をやってきたケアマネさんは、たくさんの情報を蓄積しています。基本業務とは別に、家族や周囲が動くときの情報を提供してくれる場面もあります。
たとえば、ある一人暮らしの高齢の方が、グループホームに入所することになったときに、アパートを引き払う必要が出てきました。本人だけでは動けない、家族も遠方。そんな状況で、ケアマネさんが、家財の処分のこと、不用品回収業者のこと、解約の段取りといった情報を提供してくれて、家族や周囲の人が動きやすくなりました。
「アパートの引き払い」は、ケアマネさんの業務の範囲ではありません。直接動いてくれるわけでもありません。でも、現場で蓄積された情報を渡してもらえると、家族や周囲が動きやすくなる——そういう場面を、現場で何度か見てきました。
災害時の動き
ケアマネ・相談支援専門員は、災害時に、担当する利用者の安否確認を行います。これは、業務として位置づけられています。
2024年4月から、介護事業者には**業務継続計画(BCP)**の策定が義務化されました。BCPには、災害時の対応として、
- 平時のうちに、災害時の利用者一覧表(安否確認の優先順位)を作っておく
- 災害発生時、自分の安全を確保した後、優先順位の高い利用者から安否確認を行う
- 必要に応じて、サービスの調整、避難先の確認などを行う
——という流れが含まれています。特に一人暮らしの利用者は、優先順位が高くなります。
ただし、限界もあります。
- ケアマネ自身も被災者であることがある
- 通信手段が断たれていることがある
- 道路が寸断されて訪問できないことがある
- 一度に全員を確認できるわけではない
「ケアマネがいれば、災害時に必ず助けてもらえる」というわけではありません。でも、ケアマネがついている人と、ついていない人で、災害時の状況把握のスピードが大きく違うことは、間違いありません。
→ 災害時の備えについて、もう少し詳しく家族に介護や障害のある方がいる、災害が起きたら
すでに担当者がついている方は
何か困りごとがあったら、まずその担当者に電話します。
担当者は、その方の状況をいちばんよく知っています。新しい困りごとが出てきたとき、サービスを変えたいとき、緊急時の対応に迷ったとき——担当者に相談すると、状況を踏まえて、必要な対応を提案してくれます。
担当者と連絡がつかないときは、その方の所属事業所、または市役所の介護保険課・障害福祉課に問い合わせます。
まだついていない方は
ケアマネ・相談支援専門員をつけるには、まず要介護認定(介護保険)または障害支援区分認定(障害福祉サービス)を受けます。認定の申請は、市役所が窓口です。
「申請から認定まで、どのくらいかかるの?」「どんな手続きが必要?」というところで迷うことが多いです。お住まいの地域包括支援センターに相談すると、申請から認定、担当者との契約まで、流れを丁寧に教えてくれます。
「担当者をつけたいけれど、まだ介護保険を使っていない」という段階の方も、地域包括に相談できます。「いずれ必要になるかも」という心配だけでも、相談に行って大丈夫です。
電話する前に、メモを
担当者に電話する前に、簡単なメモを作っておくと、話がスムーズになります。
- 誰のことか
- どんな状況か(普段との違い、変化したこと)
- いちばん困っていること
うまく書けなくても大丈夫です。メモは、自分の頭を整理するためのものです。
よくある不安
「担当のケアマネさんと、合わない気がする」 → ケアマネ・相談支援専門員は、変更できます。お住まいの地域包括支援センターか、所属事業所に相談すると、別の担当者に変えてもらえます。「我慢する」必要はありません。
「何でも頼んでいいの?」 → ケアプランや障害福祉サービスに関わることは、何でも相談できます。ただし、「掃除を手伝ってほしい」「買い物に連れて行ってほしい」のような、担当者が直接動く類のお願いは、業務の範囲ではありません。サービス事業者(ヘルパーなど)の利用が必要な場合は、担当者が手配してくれます。
「家族の意見と、本人の意見が違うとき、どう動いてくれるの?」 → ケアマネ・相談支援専門員は、原則として本人の意思を尊重します。ただ、家族の意見も丁寧に聞いて、間に立って調整してくれることが多いです。「本人と家族で意見が割れて困っている」というのは、よくある相談です。担当者に正直に伝えて大丈夫です。
「もっと頻繁に相談したいけど、迷惑じゃないか心配」 → 月1回の訪問が基本ですが、状況に応じて、電話やメールでの相談は受け付けてくれます。「困ったらすぐに連絡してください」と言ってくれる担当者が多いです。遠慮せずに連絡してください。
急ぐ必要はありません。担当者との関係も、一度で築き上がるものではなく、少しずつ深まっていくものです。困りごとが出たら、その都度、相談していけば大丈夫です。
医療ソーシャルワーカー
病気やけがで病院に入院・通院するときに、医療以外の困りごと——退院後の生活、医療費、家族のこと——を相談に乗ってくれる、病院の福祉の専門職です。
どんな人
医療ソーシャルワーカー(MSW、Medical Social Worker)は、病院に所属している社会福祉の専門職です。社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持っている方が多く、全国に約3万人います。
医師は治療を、看護師はケアを、薬剤師は薬を担当しますが、MSWが担当するのは、患者さんやご家族の、医療以外の困りごとです。「医療と生活の間に立って、橋渡しをしてくれる存在」と言えます。
どこにいる人
主に、総合病院、地域医療支援病院、回復期リハビリテーション病院、療養病院などに所属しています。クリニックや診療所には、ほとんどいません。
病院の中では、「医療相談室」「地域連携室」「医療福祉相談室」などの名前の部屋に詰めています。病院によって部屋の名前は違いますが、共通しているのは、**「医療以外の相談を受け付ける場所」**という性格です。
「病院名 + 医療相談室」または「病院名 + 地域連携室」で検索すると、お住まいの地域の病院のMSWについて調べられます。
こんなことを相談できます
- 入院や退院の手続き、準備のこと
- 退院後の生活のこと(在宅、施設、転院など)
- 医療費の支払いや、使える社会保障制度
- 家族との連絡や調整
- 介護保険、障害福祉サービスのこと
- 退院後、地域の窓口にどうつなぐか
「医師に直接相談しづらいけれど、相談したい」「お金が心配で、治療を続けられるか不安」「退院後の生活が見えなくて怖い」——そういうとき、まずMSWに話してみるのがおすすめです。
医療ソーシャルワーカーの動き
入院や治療の場面に応じて、MSWはこんなふうに動きます。
- 入院前または緊急入院時:家族への連絡、入院に必要な同意の確認、入院手続きの説明
- 入院中:本人の状況や家族の希望を聞き取り、退院後の生活を一緒に考える。必要な制度(高額療養費、障害年金など)の紹介
- 退院前:退院先の調整(在宅、施設、転院)、地域の窓口(地域包括支援センター、ケアマネージャー、社会福祉協議会など)への引き継ぎ
- 退院後:医療的な相談には引き続き対応。生活全般の困りごとは、地域の窓口に引き継がれる「こんな状況で困っていませんか?→退院後の生活が不安」
相談先の人たち
福祉の仕事をしてきたなかで、医療ソーシャルワーカーさんと連携する場面が多くありました。
私が施設長をしていたときには、利用者さんの入院・退院のたびに、病院のソーシャルワーカーさんとやり取りをしていました。入所手続きに必要な診断書を取ってもらったり、認定区分判定のための意見書をお願いしたり。入院や退院のときには、本人の病状や環境について情報をやり取りして、施設側に「こういう状況の方が退院されますが、受け入れは可能ですか」という打診や調整も、ソーシャルワーカーさんを通して進みました。
受診のときの事前の聞き取りもしてくれました。本人の状況や、家での様子を、ソーシャルワーカーさんが事前に整理してくれて、当日の診察に活かしてもらえる。「診察前に、舞台を整えてくれている」——そんな存在でした。
特に印象に残っているのは、緊急入院があったときの動きです。利用者さんが突然救急で運ばれて、家族は遠方に住んでいる。入院や手術には家族の同意が必要なのに、連絡が取れないと、処置が後手になってしまう——そういう場面で、ソーシャルワーカーさんが、家族に連絡を取って「緊急入院になりますが、よろしいですか」と確認してくれていました。その後も、入院に必要な書類を家族に郵送して、入院に至った経緯を説明して、家族からの問い合わせの窓口になってくれました。
後見人として関わったときにも、ソーシャルワーカーさんにはお世話になりました。入院の説明、退院時の病状以外の説明——「この方がこれからどう生活していくか」という、医療を超えた話を、ソーシャルワーカーさんが受け持ってくれました。
ソーシャルワーカーさんは、病院に所属している福祉の専門職です。医療と生活の間に立って、橋渡しをしてくれる存在——現場で関わるたびに、その役割の大きさを感じてきました。
2026年、業務指針が改正されました
医療ソーシャルワーカーの業務指針が、2026年3月に23年ぶりに改正されました。
今回の改正でもっとも大きな変化は、「患者本人の意思決定を支える」ことが、MSWの業務のトップに位置付けられたことです。患者さんが意識を失っていたり、認知症で判断が難しかったり、家族と関係が切れていたり——そういう状況で、本人の意思を一緒に探していく仕事が、MSWの中心的な役割として、国に公式に位置付けられました。
この改正の背景には、単身高齢者の増加、身寄りがない方の増加、認知症の方の増加、終末期医療における本人意思の尊重(ACP・人生会議)といった、現代日本社会の動きがあります。
改正の詳しい背景は、ブログ記事をご覧ください。
→ ブログ記事「2026年、医療ソーシャルワーカーの業務指針が23年ぶりに改正されました」
どんなときに会えるか
医療ソーシャルワーカーに会う機会は、いくつかあります。
入院しているとき 入院すると、MSWが声をかけてくれることが多いです。「何かお困りのことはありませんか」と聞かれたら、相談のチャンスです。退院に向けて、何度か話し合いをすることもあります。
外来で受診しているとき 外来通院中の方も、MSWに相談できます。多くの病院では、外来エリアに「医療相談室」「地域連携室」などの案内があります。受付や案内係に「医療ソーシャルワーカーに相談したい」と伝えると、案内してもらえます。
入院・通院していなくても 家族の入院や通院のことで困っていれば、ご家族でも相談できます。電話でも対応してくれる病院が多いです。「家族のことで相談したい」と、病院の代表番号に伝えると、相談室につないでもらえます。
地域包括支援センターから紹介されることも 地域包括などで相談したときに、医療的な背景がある場合、「まず、入院先のソーシャルワーカーさんに相談してみてください」と紹介されることもあります。
電話する前に、メモを
MSWに電話する前に、簡単なメモを作っておくと、話がスムーズになります。
- 誰のことか(自分/家族)
- どこの病院か、入院中か外来か
- いちばん困っていること
うまく書けなくても大丈夫です。メモは、自分の頭を整理するためのものです。
よくある不安
「相談料はかかるの?」 → 病院の相談室への相談は、基本無料です。
「治療費の支払いが心配。これも相談できる?」 → MSWは、お金まわりの相談を多く受けています。高額療養費の手続き、傷病手当金、障害年金、自立支援医療、生活保護など、病気やけがで使える制度はたくさんあります。「思っていたよりお金がかかりそう」「支払いが続くか不安」というときに、MSWに相談すると、使える制度の情報をもらえます。
「医療以外のことも、相談していいの?」 → MSWは「医療と生活の間に立つ」専門職です。家族のこと、退院後の生活、介護のこと、心配ごと全般を、相談できます。
「退院してしまったら、もう相談できないの?」 → 退院後の医療的な相談(転院先のこと、再入院のことなど)は、引き続き相談できる病院が多いです。生活全般の困りごとは、退院前に、地域の窓口(地域包括支援センター、ケアマネージャー、社会福祉協議会など)に引き継がれます。MSWの大事な仕事のひとつが、この**「地域への橋渡し」**です。
急ぐ必要はありません。「相談するほどのことかな」と迷っても、まず一度、病院の相談室に電話してみると、適切な相談先を教えてくれます。
認知症疾患医療センター
「親の物忘れがひどくなってきて、認知症なのかどうか、ちゃんと調べてもらいたい」
「かかりつけのお医者さんに相談したら、専門のところで診てもらったほうがいいと言われた」
「物忘れ外来に行きたいけど、どこに行けばいいのかわからない」
こうしたときに相談できる場所のひとつが、認知症疾患医療センターです。
認知症疾患医療センターとは
認知症の診断や治療について、専門的に対応する医療機関です。 都道府県や政令指定都市が指定しており、全国に設置されています。 お住まいの地域にも、対応できるセンターがあります。
認知症疾患医療センターでは、認知症の診断に必要な専門的な検査を行うことができます。 また、診断だけでなく、診断後の治療や生活についての相談にも対応してくれます。
どんなことを相談できるのか
認知症疾患医療センターでは、たとえば以下のようなことに対応してもらえます。
- 認知症かどうかの診断(画像検査や神経心理検査などの専門的な検査)
- 認知症の種類の特定(アルツハイマー型、レビー小体型、血管性など)
- 診断後の治療方針についての相談
- 本人への対応や介護について、家族からの相談
本人だけでなく、家族からの相談もできます。 「本人が病院に行きたがらないのですが」という相談も受けてもらえます。
利用するには
認知症疾患医療センターを利用するには、いくつかの方法があります。
まず電話で相談してみる
多くのセンターには相談窓口があり、電話で相談することができます。 「物忘れが気になるのですが、受診したほうがいいですか」といった相談から始められます。
受診の方法はセンターによって異なります
受診するとき、かかりつけ医からの紹介状が必要なセンターと、直接予約できるセンターがあります。 これはセンターによって違うので、電話で確認するのが確実です。
「紹介状が必要と言われたけど、かかりつけ医がいない」という場合も、まずセンターに電話して相談してみてください。対応を教えてもらえます。
また、地域包括支援センターに相談すれば、受診の流れも含めて案内してもらえます。 どこから手をつけていいかわからないときは、地域包括に電話するのもひとつの方法です。
→ 地域包括支援センターについて、くわしくはこちら
かかりつけ医との関係
認知症疾患医療センターは、かかりつけ医の代わりになるものではありません。
よくある流れはこのようなものです。
- かかりつけ医が「専門的な検査が必要」と判断する
- 認知症疾患医療センターで専門的な検査・診断を受ける
- 診断結果と治療方針が、かかりつけ医に共有される
- その後の日常的な治療は、かかりつけ医が担当する
つまり、認知症疾患医療センターは「専門的な診断をするところ」、かかりつけ医は「日々の治療を続けるところ」という役割分担です。
もちろん、センターによっては継続的な通院ができる場合もあります。 受診のときに確認してみてください。
認知症疾患医療センターの探し方
「認知症疾患医療センター ○○」(○○にはお住まいの都道府県名や市名)で検索すると、情報が見つかります。
都道府県のウェブサイトに、指定されたセンターの一覧が掲載されていることが多いです。
探し方がわからない場合は、地域包括支援センターに聞けば、お住まいの地域に対応するセンターを教えてもらえます。
この相談先が関係する記事
福祉の仕事をしていた頃のこと
「認知症かもしれない」という不安を抱えたまま、どこに行けばいいかわからずに時間が過ぎてしまう。そういうご家族を何人も見てきました。
認知症疾患医療センターは、名前が少し硬い印象がありますが、相談の電話をかけるだけなら、特別な準備は要りません。 「親の物忘れが気になるのですが」——その一言から始められます。